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201903181
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2月から島根県立美術館で開催されている「北斎展」は、前期と後期で総入れ替えという大規模な展覧会で、平日でも沢山の方がお見えになっていらっしゃいます。駐車場には県外ナンバーも沢山見かけます。

今回公開の「永田コレクション」は島根県津和野町出身で北斎研究第一人者の故・永田生慈先生所蔵の北斎の作品を、この度故郷へ寄贈頂いたものです。「寄贈作品は、一枚たりとも島根県外へ出さずに纏めて管理保存する。」という条件と言いますか、今となってはご遺言のも等しい約束があるそうです。
今後この貴重な北斎のコレクションを見ることが出来るのは、島根県でのみという事になるのだそうです。

次回の北斎作品の企画展は2022年の予定とのことで、以後も角度を変えての企画展が計画されているそうですので、島根県立美術館の今後がとても楽しみです。この沢山の北斎作品は島根県がお預かりした世界の宝物です。大切に後世へ伝え、先人の偉業を繋げていかなければなりません。

北斎展は、前期も後期も見応えがありました。どの作品も線の一本一本に表情があって語りかけるように色っぽいのです。迷うことなく筆が走っています。細部までこれでもかというほど描きこんであって、けれどそれが重たくなく小気味良い。発想や構成が洒落ていてドキドキワクワクが止まらない。只々圧倒されます。貴重な肉筆画もあり、その「気」の前に立ちすくんでしまいました。

それでも北斎は「猫一匹満足に描けぬ」と嘆いたというのですから、私の技量など如何に陳腐なものかとほとほと思い知らされました。ひたすら精進あるのみです。
それにしても、絵師の北斎のこれほどの偉業を、版木に彫り込んだ彫師の技は想像を絶します。
擦り師の微妙なさじ加減も見事。神業とはこの業のことを言うのではないでしょうか?

これが人の手の成せる業なのかと驚嘆しながらも、人の手が描き出した、造り出した線であるからこそ、味わい深さが生まれるのだと改めて確信しました。
手間を掛け、汗をかき、自分の手で線を引き、色を塗り重ねていくことが如何に大切な事なのかを改めて認識させられました。