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日本画家・柳樂晃里のたたら製鉄や霊峰大山など山陰文化探訪 に参加中!
画家・柳樂晃里190622広瀬和紙1
今日は、絵描き用の和紙を分けて頂こうと、広瀬和紙の工房へお伺いしました。
山陰は、出雲和紙、石州和紙、因州和紙など、手漉き和紙が伝統の特産品で現在でも沢山の工房が有り、それぞれに特色のある美しい和紙を手漉きしています。

広瀬和紙もそのひとつで、100%天然の素材(三椏・楮・雁皮)の繊維を溶かし、三椏、楮、雁皮の質の美を生かし、一枚一枚手漉きの純粋な和紙制作をされています。

ここの和紙は風合いが素朴でしっかりしていて、筆運びがとても良く、良い加減に絵の具を吸い込んでくれるので、とても描きやすいです。絵の具のにじみの加減も、材料のミツマタやコウゾの配分でいくらでも調整が出来るそうですし、紙の厚さも薄さも思いのままに制作して頂けます。

手作業の為、大量生産は出来ませんが、相談をすると精一杯工夫して下さいます。手仕事だからこそ出来る職人さんの温かい技です。

また、この地方は「たたら製鉄」も盛んであった為、山の水は鉄気を多く含んでいて、漉き上がったばかりの和紙は薄い褐色をしているのが特徴です。
そこのところも、「たたら」をメインテーマとしている私にとっては魅力的に思えるところです。
画家・柳樂晃里190622広瀬和紙2
画家・柳樂晃里190622広瀬和紙3
画家・柳樂晃里190622広瀬和紙4
画家・柳樂晃里190622広瀬和紙5
広瀬和紙の工房は、安来市広瀬町下山佐の深い山の中にあります。
最初の看板から山道をどこどこと車で走ること走ること・・・一本道のはずなのに、もしかして道に迷ったのでは?と思うほど走ると、やっと小さな集落に辿り着きました。
画家・柳樂晃里190622広瀬和紙6
山水が川と成って流れるその辺に工房はあります。
画家・柳樂晃里190622広瀬和紙7
画家・柳樂晃里190622広瀬和紙8
いま、ちょうど材料が煮上がったところで、ほぐしながらゴミなどを取り除く作業をしていらっしゃいました。傍らでは若いお弟子さんが和紙を漉いていらっしゃいました。根気と体力の要る大変な仕事です。
長く使い込まれた工房は、手漉き和紙独特の匂いが沁み込んでいます。
画家・柳樂晃里190622広瀬和紙9
画家・柳樂晃里190622広瀬和紙・和紙の色は鉄気の色
先ずは一杯お茶を頂きながら、この工房の主の長島さんの和紙制作への味わい深いお話を聞かせて頂きました。もうじき米寿を迎えられるそうですが、決して変えてはならないところと、改革していくべきところの見極めが肝心なところなのだと、まるで少年のような瞳でにこにこと話して下さいました。
顔に刻まれたしわや、指の節々に経験の深さが刻まれています。
気取りが無く愉快な長島さんですが、制作姿勢はめっちゃ男前の職人さんです。
画家・柳樂晃里190622広瀬和紙・和紙自然乾燥中
一枚一枚丹精された和紙ですから、大切に使わせて頂きます。

帰り道で、マタタビの樹が沢山あることに気が付きました。さすが山奥です。
日本画家・柳樂晃里190622広瀬和紙・マタタビ1
日本画家・柳樂晃里190622広瀬和紙・マタタビ2

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